地区の概要
網地島は、牡鹿半島の最南端、鮎川港の沖合約4キロメートルに位置する、周囲20キロメートル余り、人口322人(住民基本台帳 2020年3月末時)の離島である。1979年に南三陸金華山国定公園(2015年に、三陸復興国立公園に編入)に指定されている。網地白浜海水浴場は東北地方有数の海水浴場で、その透明度の高い美しい海には定評がある。島内には、北西部の網地地区と、南東部の長渡地区の2つの集落が立地している。
地区漁業の概要
宮城県漁協網地島支所は組合員約200名(正組合員は52名と8法人)で、定置網、銀ザケ養殖、刺網やかごなどの漁船漁業、海女漁などが営まれている。水揚げ金額は、定置網が7割以上を占め、次いで銀ザケ養殖が2割程度となっている。定置網の乗組員は石巻市内や牡鹿、岩手からもきている。震災前は島内にも宿舎があったが、震災後はすべて鮎川の宿舎に移っている。
「長渡復興市」の活動
2011年の震災で、食料や日用品の移動販売をしていた業者が被災したため、当初代わりの業者が見つかるまで、という気持ちで、婦人会(漁協女性部とメンバーは重複している)のメンバー4~5名が中心となって青空復興市を開始した。商品は地区住民から事前注文を取り一括発注する。日用品や生鮮品がそれぞれ決まった曜日に島に会場となる公民館に届けられ、メンバーの女性たちが仕分けや値段のラベル貼りなどを行っている。通常は40人ほどの住民から注文があるが、お盆や暮れには70人以上が復興市を利用している。また、品物によっては少し多めに仕入れており、注文したもの以外の買い物もできるようにしている。利用者にとっては、週に一度いろいろな人と会って話をする交流の機会にもなっている。また、高齢や体調の問題で公民館に来られない人のために戸別配達も行っており、見守りの役割も果たしている。活動は現在も継続して行われており、すっかり地区に定着している。担い手が高齢化しつつあるという課題もあるが、漁協職員の女性が定年後には活動を引き継ぐ予定となっている。
リンク
漁村女性の活動に関する詳しい記事:
定置漁業に関する詳しい記事:
東日本大震災における漁村の復興問題について、よろしければこちらもお読みください。