地区の概要
姫島村は、大分県の国東半島の北部沖に位置する離島で、2021年6月の人口が1,682人、2018年の漁業経営体数が113(2013年126:5年間の減少率約10%)の島である。これまで姫島は、「漁業期節定」と呼ばれる独自の指針による資源の管理や、クルマエビ養殖の好調さで全国に知られてきた。
地区漁業の概要
姫島村の基幹産業である漁業のうち、主な採捕漁業は流し刺網(キス・クルマエビ)、固定式刺網(マコガレイ・メイタガレイ)、一本釣り(タチウオ・スズキ、タイ、ヒラメ)、延縄(フグ)、採藻(ヒジキ)で、2016年の漁獲金額は約5.5億円であった。一方でクルマエビ養殖の年間漁獲金額はピーク時の17~18億円が2018年時点で約4億円にまで減少し、村内雇用者の減少など地域経済に与える影響は小さくない。
魚種 | 漁獲量 (令和元年値) | 大分県内で のシェア |
---|---|---|
合計 | 702 t | (2.3%) |
1 海藻類 | 319 t | (13.2%) |
2 たこ類 | 44 t | (12.6%) |
3 たちうお | 37 t | (6.8%) |
4 ひらめ・かれい類 | 18 t | (8.3%) |
5 すずき類 | 16 t | (16.7%) |
6 たい類 | 13 t | (2.0%) |
7 ぶり類 | 9 t | (0.7%) |
8 えび類 | 7 t | (2.6%) |
9 さわら類 | 5 t | (2.9%) |
10 貝類 | 4 t | (0.9%) |
地域における活動概要
漁村コミュニティの特徴と動き
姫島村では、長年、村長・役場を中心に島内で仕事をする人の所得の平準化を企図しワークシェアリングといわれる理念を有してきた。また、島にIT企業や人材を呼び込み、新たな雇用の場を作るとともにIoT技術により地域課題を解決しようという大分県の「姫島ITアイランド構想」が2017年12月から開始され、IT企業2社が姫島に進出し移住者も出現している。
女性の活動組織
かつて港に漁獲されたカナガシラが山積みになっていた際、大分県の振興局から加工の声掛けがあったことをきっかけに、2006年、姫島村の漁家女性が「かなんど工房」を組織し、伝統料理である魚みそやふりかけの加工品を作るようになった。島内のスーパーでの総菜販売も加わった。近年はグループ名になっているカナガシラの漁獲量が減少したこと、漁協の加工作業との兼ね合いで漁協の加工場施設を借りにくくなったこと等の活動環境の変化のなかで活動内容を模索している。一方で、姫島の水産物を販売する会社が新たにでき、地元水産物の加工販売の担い手にも変化が示されている。