地区の概要
大分県南部に位置する、リアス式海岸の鶴見半島のほぼ中央に位置する間越地区は、かつては陸の孤島と言われるほど交通の便の悪い所であった。もともと米水津村に属していたが、2005年の合併で大分県佐伯市米水津大字浦代浦間越となった。
地区の中心となる産業は漁業だが、近年地区内にNPO法人おおいた環境保全フォーラムが運営する「はざこネイチャーセンター」が開設され、エコツーリズムや宿泊、ウミガメの保護活動などを行っている。ネイチャーセンターには若手の移住者が職員として勤務している。地区人口は約30名と小規模だが、若い漁業後継者もおり、小学生以下の子供も6人ほどいるため、地区住民の平均年齢は30歳台となっている。
地区漁業の概要
間越地区は大分県漁協米水津支店に所属している。地区人口の約半数が漁業に従事しており、小型定置が5ケ統と刺網漁業が営まれている。定置網の水揚は、通常は漁協を通して佐伯や鶴見の市場へ出荷されるが、月に一度の朝市では直接販売となっている。
「来だんせへ市」の活動
人口流出と高齢化が地区の深刻な課題となっていた2000年頃から、地区内では何度も話し合いの場が設けられ、2002年に間越地区活性化推進協議会が立ち上げられた。協議会では、地区を活性化するためには、外部の人を呼び込んで賑わいを作ることが重要との結論に至り、地区内で朝市を開催することとなった。2003年に第1回目の「来だんせへ市」(来だんせへ、とは、また来てねという意味)が開催された。最初の頃は客も少なく、売れ残ってしまった魚を朝市の後に行商したこともあったというが、アンケートを取って厳しい意見も受け止め、対応に努めていった結果、佐伯市や大分市の近隣地域だけでなく、県外からも人が集まってくるようになった。現在では毎回200人から300人が買い物に来る。
月に一度、朝の数時間という小さな朝市だが、地区をよく訪れていたダイバーや地区外の友人など様々な人がボランティアで手伝いに駆けつけてくれるなど、みんなで創り上げた朝市は、いわゆる朝市ブームが下火になった現在も、息長く継続している。
朝市では、鮮魚や女性たちの手作り加工品が販売されている。来訪客によるセリは毎回大いに盛り上がり、朝市のハイライトとなっている。
当初、朝市企画の中心にいた世代は60歳台となり、現在活動の中心はその子供たち世代に移りつつある。訪問した朝市の日、若い担い手やボランティアメンバーは、客が帰っていった後も、その日の反省や次回の計画などについて、いつまでも語り合っていた。