九州最東端に位置する大分県佐伯市鶴見
全国でも有数の好漁場 “豊後水道” に面し、幾重にも入り組んだ典型的なリアス式海岸の複雑な地形が、エビ類やイカ類、イワシ、アジ、サバなどの大衆魚から大型のブリといった多種多様な魚の漁場を形成しています。
この豊富な豊後水道の海の幸が多彩な漁法を生み出し、現在でも鶴見には巻き網漁、定置網漁、底引き網漁、一本釣り、潜水などが盛んで、東九州随一の水揚げ量を誇ります。毎朝多くの魚介類が市場に並び、その種類は350種を超えるといわれています。
佐伯市公設水産卸売市場鶴見市場の特徴は、多彩な漁法による豊富な魚種と、漁場から市場までの距離が近いことで可能となる抜群の鮮度。
漁獲後、短時間で出荷できるという好条件の強みで、多くの仲買人が集まり大衆魚から高級魚まで、全国に出荷されるべく、セリ場は活気にあふれているのです。
それを示すのが、鶴見市場の取扱量、取扱金額の推移。平成21年度9,500tほどだったのが平成30年度には16,000tほどに、金額も平成21年度14億だったのが、平成30年には21億を超えるように。このデータからもその盛況ぶりがうかがえます。
また、ブランドとして認知されるべく、活魚としての出荷はもちろん、一匹ずつその魚にあった技術で、機械に頼ることなく人の手で神経締めすることで、鮮度だけでなく、その魚の見た目にもこだわるきめ細かな対応が、付加価値を生み出し、近隣の市町村からも魚が集まり、高値で取引されるようになりました。常においしい魚を追い求める姿勢が、仲買人や料理人からも厚い信頼を集める結果になっているのです。
鶴見に水揚げされる青魚の代表格、“鯵”
まさに今旬を迎えています。
春から夏にかけての季節が、最も脂がのり、味が美味しくなるといわれています。鯵をはじめとする青魚に含まれる脂は、血流の流れを促すEPAや、脳の機能を保つために不可欠なDHAが豊富です。とりわけEPAは血管を広げ血液の流れを復活させる効用があるので、同じ姿勢を長時間続けたり、パソコン画面など動くものを見続ける作業をすることで、肩こりや頭痛、不眠などを起こす働く現代人におこりがちな症状を防ぎ、改善してくれる栄養素です。初夏にEPAやDHAをより多く摂取するには、いかに新鮮で脂ののった鯵を食べるかがポイントになってきます。
鯵を簡単に美味しく
今回は脂ののった旬の鯵を使った、簡単でお子様から大人まで美味しく食べていただける、
とっておきレシピを紹介したいと思います。
鯵のソテー 夏野菜ソース
材料(2人分)
小鯵 | 4尾 |
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薄力粉 | 適宜 |
塩 | 適宜 |
胡椒 | 適宜 |
オリーブオイル | 適宜 |
ソース
玉ねぎ | 1/4個 |
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トマト | 中1個 |
きゅうり | 1/2本 |
バジル | 2枚 |
レモン汁 | 大さじ1 |
オリーブオイル | 大さじ2 |
塩 | 適宜 |
作り方
- ① 小鯵はぜいごを除き3枚におろし、塩・胡椒を振り薄力粉をまぶしておく。
- ② ソースを作る。
玉ねぎはみじん切りにし、水にさらしておく。
トマトは皮を湯むきして、種を除き5mm角に切る。
きゅうりも5mm角に切る。
バジルは細切りにしておく。 - ③ ②のソースの野菜類をボウルに入れ、レモン汁とオリーブオイル、塩を加えて混ぜ合わせ、なじませておく。
- ④ フライパンにオリーブオイル(分量外)を多めに熱し、①の鯵を皮目から入れ、両面をソテーする。
- ⑤ 鯵を皿に盛り、③のソースを添える。
鯵のEPAやDHAを効率的に摂取するには、酸化を防ぐ配慮が必要です。ビタミンCやβカロチンを多く含む野菜と合わせて酸化を防ぎEPAやDHAの働きをフル活用させましょう。
新鮮な鯵を使った、大分県佐伯市に伝わる伝統調味料「ごまだし」
佐伯市に昔から伝わる「ごまだし」は、新鮮な鯵やエソなどの魚を焼いてほぐした身を白ゴマとすり合わせ、しょうゆ、みりん、砂糖で調味した万能調味料です。茹でたうどんにごまだしをのせ、お湯を注ぐだけの「ごまだしうどん」は、忙しい漁師の生活の中から、いつでも簡単に食べられる食事として誕生した郷土料理です。
魚の美味しい旨味がつまった「ごまだし」は、和洋中エスニック、いろいろな料理に活用できます。次回は魅力たっぷりの「ごまだし」と、アイデア満載のレシピをご紹介します!