漁村の活動応援サイト
vol.9
2020.10.2

女性の力で日本の水産を元気に!〜「海の宝! 水産女子の元気プロジェクト」〜

水産庁は、水産業に従事する女性の活躍をアピールすることで地域や産業の活性化を目指す「海の宝!水産女子の元気プロジェクト」を平成30(2018)年11月に発足させました。

水産業を取り巻く環境

水産業を取り巻く環境は、世界的な人口の増加や経済発展に加え、水産物の優れた栄養特性に対する評価の高まりもあって、その需要が増大している一方、我が国においては、漁船の高船齢化、漁業者の減少・高齢化の進行等、水産物の生産体制が脆弱化するとともに、国民の「魚離れ」の進行が止まらず、このままでは、我が国周辺の「身近な自然の恵み」を活用する力を失ってしまう状況が懸念されています。

特に漁村地域においては、漁業・水産業とその関連産業が経済の中心となっている場合が多く、これらの地域における経済活動の水準を維持・向上させ人口減少と地域経済の縮小を克服することなどが課題となっています。

このような中、我が国の水産業を若者にとって魅力ある産業とするとともに、国民への水産物の安定供給という使命を果たしていく必要があります。
世界市場や国内消費者の多様なニーズを視野に入れて、女性や若者も含め、意欲ある漁業者等の創意工夫を活かせる取組を進めていくことが重要となっています。

水産業における女性の地位

そのような中、女性の地位向上と活躍の推進は、漁業・水産業の課題の一つとなっています。
全国の漁業・水産業従事者は約59 万人で、従事者の男女構成をみると、約40%に相当する23 万人が女性です。

漁業・水産業従事者数
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資料:農林水産省「漁業就業動向調査」(平成29(2017)年、漁業就業者)及び「2013 年漁業センサス」(陸上作業従事者及び水産加工場従事者)に基づき水産庁で作成

海上での長時間にわたる肉体労働が大きな部分を占める漁業においては、就業者に占める女性の割合は13.7%と低くなっていますが、漁獲物の仕分けや選別、カキの殻むきといった水揚げ後の陸上作業(女性38.4%)や、漁獲物の主要な需要先である水産加工業(女性61.7%)においては、女性が重要な役割を果たしています。

このように、海女漁等の伝統漁業のみならず、水産物の付加価値向上に不可欠な陸上での活動を通し、女性の力は漁業・水産業を支えています。

一方、女性が漁業経営や漁村において重要な意思決定に参画する機会は、いまだ限定的であると考えられます。
例えば、平成27(2015)年の全国の漁業協同組合における正組合員に占める女性の割合は5.6%となっているほか、女性役員は全体の0.5%に過ぎない状況です。

漁業協同組合の正組合員及び役員に占める女性の割合

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女性の力で日本の水産を元気に

そこで、水産業に従事する女性にスポットライトを当て、自らの意欲と能力を発揮して前向きに取り組む女性を応援することが、女性が活躍できる環境づくりに重要と考え、水産庁では、「海の宝!水産女子の元気プロジェクト」を平成30(2018)年11 月に発足させました。

水産業界で輝く女性たちが “繋がり”、新たな価値を “創り出し”、それを “伝える” 活動を応援することで、100 年先も豊かな水産業を目指すことをビジョン・ステートメントとするプロジェクトです。

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“繋がる”(全国の水産女子が交流、勉強会の開催、悩みの共有)、
“伝える”(活動の紹介、SNS 発信、イベント参加)、
“創る”(企業やメンバーとのコラボ、女性目線での商品開発、イベントの企画等)
ことで、水産業界における女性の存在感を高める、水産業の魅力を高める、女性の力で水産業をもっと元気にする!ことを目指します。

発足当初16名だった水産女子のメンバーも、現在(2020年7月末)では61名となりました。
メンバーの構成は、漁師、加工、仲卸、販売のほか、一般消費者向けの魚の捌き方教室や児童を対象とした料理体験学習を通じた魚食普及の活動、釣りや教育、音楽を通じて食や海、漁村の魅力を発信している方といった様々な業種の女性たちです。

「多くの人によろこんでもらえる魚を提供したい。」、「女性の働きやすい、活躍しやすい環境をつくりたい。」、「子どもたちに海、魚の魅力を伝承していきたい。」、「メディアを使って水産の魅力をアピールしたい。」と皆さん意欲をもっています。

現在、SNS を通じて水産女子の間で様々な情報交換などの交流を行っているほか、講演活動や、レシピの提案、イベントへの参加などの取組が行われています。

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京都府伊根町で海女をしながら、鮮魚運搬ドライバーを頑張る水産女子 大西 幸子さん
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熊本県天草市の海の魅力を伝える水産女子 正角 雅代さん
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豊洲市場でマグロの仲卸として活躍する 中嶋 麻緒さん

また、本プロジェクトへの参画、関心をいただいている企業も増えてきており、水産女子と企業とが連携した商品、サービス等の開発に向けた検討が進められています。
女性でも扱いやすい漁労機器の開発による作業負担の軽減、地域特産の水産物を使ったヘルシーで調理しやすい食材の開発による水産物の付加価値の向上、等々、今後様々な企業とのコラボによる成果が実現できることを期待しているところです。

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これからも、多様な企業と連携しつつ、水産業の現場で活躍する女性の姿を様々な切り口で情報発信するほか、このプロジェクトの取組を通じて水産女子自らが意識の改革、発想力・創造力の発展を図りつつ、女性の存在感を高め、併せて魅力ある「水産業」を目指していきます。

日本の水産を元気にする水産女子の活躍にご期待ください。

著者

溝部倫之(みぞべ のりゆき)

水産庁 漁政課 広報班 課長補佐。
3歳で釣りを始め、6歳で水産の道を歩むことを決める。
22歳で水産庁に入庁後は、海外交渉、放射能、金融業務などに従事し、2019年4月から広報班長を務める。広報班では、海、魚や水産の魅力を多くの人に知ってもらい、その価値を高めることを目標として、SNSなどを活用した広報を進めている。
個人活動で「琵琶湖の水産業を本気で何とかする会」を仲間達と立ち上げ、湖魚のPR、出口戦略や経営改善について議論を日々重ねる。

水産庁Faceboook:https://www.facebook.com/suisanjapan.jfa
水産庁ブログ:「アワビのステーキ食べてみたいよね」
http://www.jfa.maff.go.jp/j/koho/blog/awabiblog.html

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