大分県佐伯市は全国でも有数の水産業の盛んな町。
その中でも、蒲江西野浦地区は、古くから養殖業が盛んな地区として全国に知られています。ブリ、カンパチ、タイ、フグ、カワハギ、ヒラメ。中でもヒラメの養殖は日本一の生産量を誇る。
佐伯市街地から車で30分ほど。リアス式の複雑に入り組んだ海岸沿いを通り、トンネルを抜けるとほかの地区とは少し違う養殖業者の建物が続きます。窓のない平屋の小屋。それがヒラメやフグの陸上養殖施設。
河内水産は養殖業者が並ぶ海沿いの細い道の中程にある。
迎えてくれたのは河内伸浩さん。
西野浦で生まれ育ち、高校卒業後に大阪の理工学系の大学へ。大学卒業後も西野浦に戻ることなく、自由気ままに飲食店のアルバイトなどで都会生活を楽しんだ。しかし、ある思いを胸に地元へ帰ることを決意。
“海を守りたい”
一度外へ出たからこそわかること。私の里もそうですが、20年ほど前まで家の前の湾は養殖のいかだが無数にあり、餌の食べ残しなどで海が汚れて臭いというイメージでした。同じようにある釣りサイトでも、西野浦の海が養殖業者のせいで臭くて汚いと書かれたことがありました。
当時の西野浦の海は、河内さんにとってこれからの養殖業のあり方を考え直すきっかけとなりました。
海に負担を与えずきれいな海を取り戻す。水産資源が限られていく中で、海や食卓を守るために、養殖業者ができることは何か?それは海を汚さない環境へ配慮した餌の改良、そして安心安全な魚を確実に食卓に届けること。それがこれからの養殖業者の使命であると気づかされた河内さん。
河内さんが一番に取り組んだのは自家製発酵飼料。高温発酵技術を活用し、10年以上をかけて水産用にアレンジした世界で唯一の発酵飼料。魚介類やおからなどを原料とし、好熱菌を活用し発酵させて作った発酵飼料。その効果は一目瞭然。
養殖場船着き場の前の浜が驚くほどきれいなのです。
アマモの緑がまぶしく透き通った海底。アマモの生育には水質や砂泥質の底質が正常であること、人工構造物により浅海域の環境が悪化していないことなどが必要とされるため、海岸の指標生物とされています。そのアマモが生えているということは、海がきれいな証。
数年かけて魚を育てる立場から海を育てる立場へと意識が変化したたまもの。そんな安心安全なヒラメが、昨年からのコロナ禍で大きな影響を受けていた。
私が河内水産のヒラメを知ったのも、フェイスブックで呼びかけられた、生産者を応援するサイトから。ヒラメは1kg以上で出荷される大きな魚。主な取引先はホテルのレストラン等の大きな飲食店が多く、昨年4月の緊急事態宣後は、そうした業者への出荷が一切ストップ。
陸上養殖ではいけすが限られているから、出荷されるはずのものがそこに居続けると、次のヒラメを育てることができない。さらに居続けるということは電気代や餌代が余分にかかり、育てれば育てるほど赤字に陥る。そんな負の連鎖に。
フェイスブックで呼びかけられたのは、同じような境遇のコロナの影響で困っている農家さんや漁業者さんたちを応援するサイトでのネット通販。
(ポケマル)https://poke-m.com/
その時に注文したヒラメの美味しさといったら。
丁寧に下処理されたヒラメは、もちろん臭みもなく淡泊な味わい。和洋中いかなる料理にも合わせていける汎用性の高いヒラメ。
今回は、そんなヒラメを使ったレシピを紹介したいと思います。
ひらめレシピ
ひらめの唐揚げネギソース
材料
ヒラメの切り身 | 2切れ |
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塩 胡椒 薄力粉 揚げ油 | 適宜 |
白ネギ | 1/2本 |
醤油 | 大さじ1 |
酒 | 小さじ1 |
ごま油 | 大さじ1 |
作り方
- ① ヒラメには塩胡椒を振り、薄力粉をまぶして、170度に熱しておいた油でからりと揚げる。
- ② 白ネギはみじん切りにし、醤油、酒、ごま油と合わせておく。
- ③ お皿にヒラメをのせ、②のネギソースをかける。
* ヒラメはえんがわ部分をからりと揚げればカリカリポリポリといただけます。
身の部分はふっくらと。河内水産の大きなヒラメだからこその唐揚げです。
ヒラメのソテーアサリソース
材料
ヒラメの切り身 | 2切れ |
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アサリ | 150g |
玉ねぎ | 1/4個 |
ミニトマト | 4個 |
焼き海苔 | 1/2枚 |
オリーブオイル | 大さじ1×2 |
白ワイン | 大さじ1 |
塩 胡椒 薄力粉 三つ葉 | 適宜 |
作り方
- ① アサリは砂抜きをし(塩水につけて暗いところに半日おいておく)、玉ねぎは薄切りにする。ミニトマトは1/2〜1/4等分にする。焼き海苔はちぎっておく。
- ② ヒラメに塩胡椒を振り、薄力粉をまぶして、オリーブオイル大さじ1を熱したフライパンで両面をソテーし、一度取り出す。
- ③ 空いたフライパンの油を拭き取り、オリーブオイルを大さじ1入れ、玉ねぎを炒める。しんなりしたらアサリ、白ワイン、水50ccの順で加え、アサリの口がひらいたら、ヒラメを戻し入れ、ミニトマト、海苔を加えて一煮立ちさせる。
- ④ 塩、胡椒で味を調え、お皿に盛り、刻んだ三つ葉をのせる。
* 淡泊なヒラメにアサリのうまみをプラス。ソテーしたものをもう一度アサリのソースにいれ味をしみこませることで、ふっくらと仕上がります。トマトの赤、海苔の黒、三つ葉の緑と彩りも美しいソテーです。
ヒラメの酢豚風
材料
ヒラメ | 半身 |
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玉ねぎ | 1/2個 |
パプリカ | 1/2個 |
人参 | 1/2本 |
絹さや | 8枚 |
塩 胡椒 薄力粉 揚げ油 | 適宜 |
A タレ
ケチャップ | 大さじ2 |
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酢 | 大さじ2 |
砂糖 | 大さじ3 |
みりん | 大さじ1 |
醤油 | 大さじ2 |
酒 | 大さじ1 |
水 | 大さじ1 |
鶏ガラ顆粒 | 少々 |
片栗粉 | 大さじ1 |
作り方
- ① ヒラメは食べやすい大きさに切り、塩胡椒をふり、薄力粉をまぶしておく。
- ② 玉ねぎ、パプリカも食べやすい大きさに切り、人参は乱切りにする。絹さやは半分にきる。
- ③ 揚げ油を160度に熱し、ヒラメを揚げる。野菜はそれぞれ素揚げする。
- ④ 中華鍋に A タレ を熱し、一煮立ちしたら③を加え、倍量の水でといた片栗粉を加えてとろみをつける。
* 淡泊なヒラメを甘酸っぱい酢豚味でいただきます。野菜の食感が残るように少し硬めに仕上げるのもポイントです。ヒラメは柔らかく、その対比がおいしく感じられます。
ヒラメ入りグラタン
材料
ヒラメ | 200g |
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白ネギ | 1/2本 |
ほうれん草 | 1/2束 |
塩 胡椒 薄力粉 | 適宜 |
オリーブオイル | 大さじ1 |
バター | 20g |
薄力粉 | 大さじ2 |
白ワイン | 大さじ1 |
牛乳 | 200cc |
ケチャップ | 大さじ2 |
チーズ | 適量 |
作り方
- ① ヒラメは食べやすい大きさに切り、塩胡椒をふり、薄力粉をまぶしておく。白ネギは小口切り、ほうれん草は5cm長さに切る。
- ② フライパンにオリーブオイルを熱し、ヒラメを両面ソテーし、一度取り出しておく。
- ③ 空いたフライパンの油を軽く拭き取り、バターを熱して白ネギを炒める。しんなりしたら薄力粉を振り入れ、粉っぽさがなくなったら白ワイン、牛乳を少しずつ加えて煮る。とろみがついてきたら、ほうれん草、ヒラメを入れ、ケチャップ、塩胡椒で味を調える。
- ④ ③を耐熱皿に移し、チーズをのせて、オーブントースターで焦げ目がつくまで焼く。
* 野菜はお好みで。淡泊なヒラメは乳製品との相性もよし。ケチャップを加えて、かわいらしいピンク色に仕上げました。
ヒラメとオレンジのマリネサラダ
材料
ヒラメ刺身用 | 150g |
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赤玉ねぎ | 1/2個 |
オレンジ | 1個 |
ルッコラ | 適量 |
A ドレッシング
白ワインビネガー | 大さじ1 |
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オリーブオイル | 大さじ2 |
蜂蜜 塩 | 少々 |
作り方
- ① ヒラメは薄くそぎ切りにする。赤玉ねぎは繊維を断つように薄切りにし、水にさらしておく。オレンジは皮をむき、食べやすい大きさに切る。ルッコラは5cm長さに切る。
- ② A ドレッシングを混ぜ合わせて、①とボウルの中で和える。
* オレンジ色と、玉ねぎの赤とヒラメの白の対比が美しい爽やかなマリネサラダ。さっぱりとした味で、そのままでももちろん、バゲットに乗せて食べるなどしてもおいしい。
ヒラメと春雨のエスニックサラダ
材料
ヒラメ刺身用 | 150g |
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春雨 | 40g |
人参 | 1/2本 |
キュウリ | 1/2本 |
パプリカ | 1/4個 |
赤玉ねぎ | 1/4個 |
ピーナッツ | 20g |
三つ葉もしくはパクチー | 適宜 |
A
ナンプラー | 大さじ2 |
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砂糖 | 大さじ2 |
酢 | 大さじ2 |
ごま油 | 大さじ1 |
一味 | 少々 |
作り方
- ① ヒラメは薄切りにしておく。春雨は表示通り茹で、水気を切る。人参、キュウリ、パプリカは千切りにし、玉ねぎは繊維を断つように薄切りにし、水にさらしておく。ピーナッツは荒く刻んでおく。
- ② ボウルに A を入れよく混ぜ、①を入れて和える。お皿に盛り三つ葉をのせる。
* タイ料理のヤムウンセンをアレンジ。淡泊なヒラメだからこそ、ほかの食材を邪魔しない。
野菜もたっぷり食べられるサラダです。