大分空港から北へ20分。仏の里、と呼ばれるほど数々の古刹が点在する国東(くにさき)半島には、巨大な磨崖仏や仁王像など石仏群があり、今日でも峰入りや修正鬼会(しゅじょうおにえ)などの仏教文化が深く息づいています。
そんな豊かな山や海の自然と静かな環境が整っている国東の地も、地球温暖化等が原因で、増えすぎたウニにより藻場が食い荒らされる磯焼け問題に直面しています。
大分うにファーム代表、栗林正秀さんも国東の海を愛する一人。蛸や太刀魚、かご漁などの漁師の家で育ち、朝から晩まで海で遊ぶのに夢中だった少年時代。しかし大人になるにつれ、地元の天然漁獲が減り漁業を継ぐこと、続けることが難しい状況になり、一度は外の社会へ。
しかし28歳ぐらいの時にふと地元へ帰り友人たちと話をしたおり、この国東の海や自然がもったいない、かといって、地元でやれる仕事がないよね、いい暮らしができるわけではないよね、帰りたくてもなかなか帰れないよね、という話になってしまいます。
国東では、企業誘致などで派遣労働者など人口が一時的に増え、収入が増えた時期がありました。けれどもその後、リーマンショックの影響でアパートの退去が相次ぎ、ゴーストタウン化した地域が増えました。
漁業者に新しい収入をもたらし、さらに町おこしができないか。何か、少人数であろうとも、海や山を活用した、地の利を活かした仕事を作ること、100年200年と続くような、価値のあるものを生んでいくのが重要なのではと思い、海産物の養殖に目をつけたのが始まりでした。それが最初の牡蠣養殖です。その当時最先端の牡蠣養殖技術をオーストラリアで学び、現在も継続して学んでいます。
世界中の先端技術、環境への取り組みを見る中で、ノルウェー在住のウニノミクス創業者の武田さんに出会います。
ウニノミクスは、海の生き物のゆりかごともいえる藻場を食い荒らしてエサの海藻を枯渇させてしまった結果、身がやせてしまったウニを陸上で畜養するという画期的な技術です。10週間の畜養で、幻の赤ウニのような、有名産地の天然ウニにも引けをとらない高品質の美味しいウニに成長します。
ウニノミクスで育てたウニは、とても甘く、ウニの旨味をそのまま味わえます。ミョウバンの匂いやアルコール臭もありません。ウニは食べるエサによって味が変わるといいますが、私が子供の頃、地元の海で食べていたウニの味そのままの味でした。
陸上畜養の閉鎖循環システムにより、海水温や水質を一定に保ち、個体差のない安定した品質や、旬に限らず供給量を調整できるという強みもあります。大分うにファームが使用している、うに畜養専用飼料は、ウニノミクス社と日本農産工業とで開発された、持続可能な方法で収穫された食用昆布の端材を主原料とし、海藻の旨味成分、栄養が凝縮されています。ホルモン剤や抗生物質等をいっさい使わず、人と環境に優しく安全な飼料を用いています。
人が食べても大丈夫ということでこの飼料を食べてみたら、味のついてない昆布の旨味の塊!といった感じでした。
大分県内の価値がないと思われてきた身のやせたムラサキウニを、価値ある商品に変え、地域の一次産業に持続可能な職と雇用を生み出す。また地域の新たな特産品として、国東の観光や地域の活性化への一助になる。しかも枯れてしまった藻場を復活させ、再び豊かな漁場へと変える。漁師にとっても、また地域にとっても持続可能な未来が開けていると感じます。
磯焼け問題を抱えている漁業者は全国にたくさんいます。
「SDGsが叫ばれている昨今、持続可能で環境に配慮した事業を展開することで、その問題解決のためのモデルケースになれば」と話す栗林さん。
一燈照隅 万燈照国(いっとうしょうぐう ばんとうしょうこく)。
地方の人々の希望となる小さな灯火。その灯火がやがて万の数に増えれば国を明るく照らすことができる、という最澄が唐の国から持ち帰った言葉。栗林さんの座右の銘です。
陸上畜養で地域経済を活性化させ、環境保全に貢献し、国東の地を明るく照らすことができればと願っています。
今回はそんなウニを使ったレシピを紹介します。
雲丹のせ冷や奴
材料
雲丹 | 4切れ |
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豆腐 | 100g |
しょうゆ | 少々 |
小ネギの小口切り | 少々 |
作り方
- ① 豆腐を食べやすい大きさにきり、雲丹と小ネギをのせしょうゆをかける。
シンプルな冷や奴に雲丹をのせて贅沢に。おもてなしの一品におすすめです。
雲丹のクリームチーズ和え
材料
雲丹 | 10g |
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クリームチーズ | 50g |
オリーブオイル | 大さじ1 |
大葉 | 2枚 |
作り方
- ① クリームチーズは2cm角に切る。大葉は千切りにする。
- ② ボウルにクリームチーズ、雲丹、オリーブオイルを入れて和え、大葉をのせる。
ちょっとしたおつまみとして、日本酒やワインにも合います。
雲丹の贅沢TKG(卵かけご飯)
材料
雲丹 | 5切れ |
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白ご飯 | 1杯分 |
卵 | 1個 |
小ネギの小口切り | 少々 |
しょうゆ | 少々 |
作り方
- ① 温かい白ご飯に、卵、小ネギ、雲丹をのせて、しょうゆをかけていただく。
いつもの卵かけご飯をとびきり贅沢に。
雲丹の甘さとまったりさもプラスされ、するするとごはんがはいります。
雲丹と海老の天ぷら
材料
雲丹 | 20g |
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むき海老 | 80g |
焼海苔 | 2枚 |
大葉 | 4枚 |
塩 | 少々 |
酒 | 少々 |
片栗粉 | 小さじ2 |
天ぷら粉 揚げ油 レモン | 適量 |
作り方
- ① むき海老は包丁で叩いて細かくし、塩と酒、片栗粉を加えて混ぜ合わせておく。
- ② 焼海苔は4等分に切る。大葉は半分に切る。
- ③ 焼海苔の上に、大葉、むきえび、雲丹をのせて半分に折りたたみ、水で溶いた天ぷら粉にくぐらせて、170度に熱した揚げ油で揚げる。
- ④ 皿にのせ、レモンを添える。
ウニと海老の贅沢な天ぷらです。海老の食感に雲丹が絡まり、どこを食べても雲丹の香りがします。揚げ物ですが、大葉とレモンでさっぱりといただけます。
雲丹のムース
材料
雲丹 | 20g |
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牛乳 | 100cc |
生クリーム | 50cc |
ゼラチン | 2g |
塩 | 少々 |
飾り用 ・雲丹 ・チャービル ・オリーブオイル | 適宜 |
作り方
- ① ゼラチンに水大さじ1を入れてふやかしておく。
- ② 小鍋に牛乳を入れて温め、沸騰直前に火を止めゼラチンを加えてとかす。
- ③ 生クリーム、雲丹、塩を加えてミキサーにかけ、裏ごしして器に注ぎ、冷蔵庫で冷やし固める。
- ④ 固まったら飾り用の雲丹、チャービルをのせオリーブオイル少々をたらす。
雲丹のカナッペ
材料
雲丹 | 各お好みの量で |
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クラッカー | |
ミニトマト | |
アボカド | |
クリームチーズ |
作り方
- ① クラッカーの上にクリームチーズを塗ります
- ② 雲丹とミニトマト、雲丹とアボカドをのせる
雲丹がのるだけでいつものカナッペが一気に贅沢になります。
大分うにファーム
- ウェブサイト
- oita-uni-farm.co.jp
- 食べチョク
- tabechoku.com