かぼす、ゆず、みかん、オリーブ等、近年餌料に柑橘類等を加えて魚の臭みを消し鮮度を長持ちさせることのできるブランド養殖魚が増えています。
ここ大分県でも、日本一の生産量を誇るかぼすを餌に添加することで、より美味しく、日持ちがして商品価値の下がりにくい“かぼすブリ”の生産が2010年ごろから始まりました。
もともと、大分県ではブリの養殖が盛んで、全国3位の生産量を誇っていました。臼杵市をはじめ、佐伯市や津久見市など、リアス式海岸に面した豊後水道の恵まれた環境で育てられたブリは、身が締まっていて脂のりがよいと評判でした。しかし、ブリの切り身は他の魚と比べて、血合いが早く変色し、しめたあとすぐは美味しく食べられますが、時間の経過とともに変色することで、見た目の悪さから商品価値が落ちてしまうという問題を抱えていました。
そこで開発されたのがかぼすブリ。
大分県産かぼすを餌に加えることで(かぼすの皮ごとパウダーにしたものを総給餌の0.5%添加する)、かぼすに含まれるポリフェノールやビタミンC等の抗酸化作用により、変色を抑えるだけでなく、脂がさっぱりとした臭みのない肉質に育てることができます。さっぱりとして、香りがよく、血合いの部分が色鮮やか。脂がしつこくないので、いくらでも食べられると評判です。
臼杵市佐志生の大分みらい水産(旧重宝水産)では、いち早くこの“かぼすブリ”の生産に取り組んでいます。
佐志生の湾は、三つ子島と呼ばれる三つの小さな島と、その間を結ぶように設置された防波堤により、うねりが少なく安定した水温で、静かな養殖環境が整っています。また山が近く、それが壁となり前からも後ろからも海面を守る環境が整っているのです。リアス式海岸の賜物といえる光景がそこに広がります。
大分みらい水産では、このかぼすブリを中心にかぼすヒラマサの生産も行っています。かぼすブリの出荷は冬(11月~3月頃まで)ですが、かぼすヒラマサは4月から夏場が出荷シーズンです。ちなみに、ヒラマサはブリと比べて口元の形状が少し丸く、胸びれが側線に沿う黄色い線と重なっており、ブリと比べると少しシャープなシルエット。身はブリと比べると乳白色でみるからにあっさりとした色合いです。
成長段階に応じて生簀を替え、餌の量や配合、与えるタイミングを微調整し、4kgほどのサイズ(ブリは6kgほど)になるまで大事に育てます。
大分ではかぼすブリの認知度はありますが、全国レベルでいうとまだまだ知られていないブランド魚。ヒラマサも、見た目がブリとあまり変わらないですが、まだまだ知名度の低い魚。
かぼすブリもかぼすヒラマサも、関アジ関サバと負けず劣らずの知名度をあげて、大分県の第2のブランド魚として広めて、全国の皆様に味わってもらいたいものです。
今回はかぼすヒラマサのレシピを紹介します。
かぼすヒラマサのしゃぶしゃぶ
材料
かぼすヒラマサ | 半身 |
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野菜(白菜、椎茸、 水菜等お好みで) | 適量 |
昆布 | 10cm 長さ1枚 |
ポン酢
かぼす | 4個分 |
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醤油 | 100ml |
みりん | 20ml |
鰹節 | 10g |
昆布 | 5g |
作り方
- ① ポン酢のかぼすは半分に切って果汁を搾りざるで漉し、容器に果汁と醤油、みりん、鰹節、昆布を入れて一晩おく。
- ② ヒラマサは薄切りにする。野菜は食べやすい大きさに切る。
- ③ 鍋に昆布と水を入れ、煮立つ直前で昆布を取り除く。
- ④ ヒラマサの切り身をさっと湯通しして、ポン酢で頂く。
あっさりとしたヒラマサを少し甘いかぼすポン酢で。
さっぱりとした鍋物は、冬に限らず暑い時期にもおすすめです。
かぼすヒラマサのカルパッチョ
材料
かぼすヒラマサ (刺身用) | 適量 |
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パプリカ赤・黄 | 各1/4個 |
赤玉ねぎ | 1/4個 |
かぼす | 1個 |
オリーブオイル | 大さじ2 |
蜂蜜 | 小さじ1 |
塩 | 少々 |
作り方
- ① ヒラマサは薄切りにする。
- ② パプリカは5mm角に切り、赤玉ねぎはみじん切りにする。
- ③ かぼすの果汁を搾って、②、オリーブオイル、蜂蜜、塩と合わせておく。
- ④ ヒラマサを皿に並べ③をかける。かぼすの皮のすりおろしを散らす。
カラフルなカルパッチョ。皮をすりおろすことで、かぼす感アップ。
大分郷土料理りゅうきゅう
かぼすヒラマサを刺身状に切って、ひたひたにかぶるくらいの醤油、みりん少々で浸けます。
(大分の甘い醤油ならみりんは不要です)
お皿に盛り、たっぷりの小ネギをのせる。
大分の郷土料理りゅうきゅうは漁師飯。余った魚を甘めの醤油に浸けて保存性を高めた郷土の味です。
かぼすヒラマサのヤンニョム焼き(3~4人分)
材料
かぼすヒラマサのあら | 1尾分 |
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ニンニク | 2かけ |
白ネギ | 1/2本 |
かいわれ | 適宜 |
糸唐辛子 | 適宜 |
A タレ
醤油 | 大さじ4 |
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砂糖 | 大さじ2 |
酒 | 大さじ1 |
蜂蜜 | 大さじ1 |
コチュジャン | 大さじ1 |
すりごま | 大さじ1 |
胡椒 | 少々 |
作り方
- ① ヒラマサのあらはざるにのせ熱湯をかけておく。
- ② ニンニクはすりおろし、白ネギはみじん切りにしてAと合わせておく。
- ③ ①を②につけて30分以上置く。
- ④ 200度に温めておいたオーブンで20分ほど焼く。
- ⑤ 皿に盛り、かいわれ、糸唐辛子を飾る。
ヒラマサを韓国料理のヤンニョム焼きに。パンチのある味で食が進みます。
コチュジャンの量はお好みで。
かぼす風味の幽庵焼き(2人分)
材料
かぼすヒラマサの切り身 | 2切れ |
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かぼす | 1個 |
大根おろし | 適宜 |
幽庵ダレ
酒 | 大さじ1 |
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醤油 | 大さじ1 |
みりん | 大さじ1 |
作り方
- ① かぼすは薄切りにする。
- ② バットに幽庵だれを混ぜ合わせ、ヒラマサを浸けてなじませ、①のかぼすをのせて、冷蔵庫で1時間ほど寝かす。途中返しながら漬け込む。
- ③ 汁気を切って、魚焼きグリルで焼く。途中、つけ汁を大さじ1かけて、中に火が通るまで焼く。
- ④ 皿に盛り、大根おろしを添える。
ゆずで作る幽庵焼きをかぼすに代えてアレンジです。ゆずよりも酸味がありさっぱりといただけます。
かぼすヒラマサの香り蒸し(2人分)
材料
かぼすヒラマサ | 2切れ |
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白ネギ | 1/2本分 |
生姜 | 1かけ |
ごま油 | 大さじ4 |
A タレ
薄口醤油 | 大さじ1 |
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酢 | 大さじ1 |
砂糖 | 大さじ1 |
赤唐辛子の小口切り | 1/2本分 |
作り方
- ① 白ネギは斜め小口切り、生姜は千切りにする。
- ② 耐熱皿に白ネギの青い部分を敷き、その上にヒラマサをのせる。
- ③ 蒸気の上がった蒸し器で10分ほど蒸す。
- ④ Aをかけて、白ネギ、生姜をのせ、熱々に熱したごま油を白ネギと生姜にかける。
熱々のごま油をかけることでライブ感もある一品です。
ヒラマサのあっさりとした脂とごま油の香りの相性がよく、香りを楽しめます。