大分県国東半島の北5kmの沖合に位置する姫島は、東西6.6km、南北2.6km、周囲17kmの、人口2千人ほどの小さな離島です。2013年に「火山が生み出した神秘の島」をテーマとして、日本ジオパークに認定されました。
ジオパークとは、地質や地形など、地球活動の記録を保全し、その土地と人の暮らしの関わりを学び楽しむところで、その地質遺産を教育活動や観光、ツーリズム等に有効活用し、地域を活性化していく取り組みが各地で進められています。
姫島は、約30万年前からの火山活動で生まれた大地が、悠久の時を経て瀬戸内海に浮かぶ4つの島となり、やがてそれらが砂州でつながり一つになった島です。島の随所に火山活動の痕跡やその地形を生かして発達した産業や生態系など、コンパクトな島の中にたくさんの見所があります。
黒曜石の断崖、干潮時に陸とつながる浮洲。平たい石材として重宝された火山岩は、古くは武家屋敷の石畳に使われ、今でも島内の石垣や波止めの築造に使われています。また、島の各所で発見されているゾウの化石や、藍鉄鉱という鉱物でできた球体の石など、地質学的にも、歴史的にも大変重要な島といえるでしょう。
そんな姫島の産業と言えば車海老養殖。
慶長年間から長く村の主要産業であった塩田が昭和34年に廃止され、地場産業の振興、塩田跡地の利用、塩田従事者の雇用などを目的として、車海老の養殖が始まりました。しかし、なかなか軌道に乗せることができず、村外の開発会社が介入もしましたが経営難に陥り、当時としては珍しい、行政(姫島村)が出資して第三セクター方式で再出発をしました。
冬の寒波、夏の旱魃、酸素欠乏や病死、雑魚の養殖池への侵入など多くの問題もありましたが、今では姫島を代表する主要産業の特産品として、全国に知られるようになりました。
車海老養殖場は、島内に三カ所、総面積は383,300m2に及びます。
1~4月は池の清掃、4月初旬卵を持った海老を孵化タンクに入れ、配合飼料を与えながら育てます。5月初旬、孵化タンクから育成用の養成池に移し、餌やりや清掃など昼夜を問わず管理を続け、7月中旬から間引き出荷が始まります。
養殖池から取り上げられた車えびは、冷却水槽の中に入れて動きを止め、サイズごとに選別し、業務用は発布スチロールに詰め、個人用はおがくずに詰めて発送されます。
加熱用、生食用それぞれの小分けパックや業務用、また家庭向けに加工された海老フライなど用途ごとに様々な商品がネット通販や島内のお土産屋さんで購入できます。
今回はその姫島車海老を使ったレシピを紹介します。
車海老のパエリア
材料(3~4人分)
車海老 | 8尾 |
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米 | 2合 |
玉ねぎ | 1/2個 |
ニンニク | 1かけ |
パプリカ | 1/2個 |
しめじ | 50g |
サフラン(あれば) | 小さじ1/2 |
白ワイン | 大さじ2 |
塩 | 少々 |
胡椒 | 少々 |
オリーブオイル | 大さじ1 |
レモン・パセリ | お好みの量 |
作り方
- ① サフランは湯1/2カップを混ぜて30分ほどおいておく。パプリカはへたと種を除き縦に1cm幅に切る。シメジは石突きを除きふさに分けておく。玉ねぎ、ニンニクはみじん切りにしておく
- ② 車海老は殻付きのまま背わたを竹串でとり除き、塩少々でもみ洗いし、水気を拭き取る。
- ③ フライパンにオリーブオイル大さじ1を熱し、海老を入れて頭の味噌を潰しながら両面を焼き付け、一度取り出す。
- ④ 同じフライパンにオリーブオイル大さじ1とニンニクを入れて中火にかけ、香りが出たら玉ねぎを加えて炒める。
- ⑤ 玉ねぎがしんなりしたら、米を加えてさっと炒め、米が透き通ってきたら白ワイン、サフラン水、熱湯2カップ、塩小さじ1、胡椒少々を加えて煮立ったら一混ぜし、海老を戻し入れ5分ほど煮る。
- ⑥ 一度上下を返し、海老を放射状に並べ直し、パプリカ、シメジをのせ、蓋をして弱火で15分ほど炊く。
- ⑦ 30秒ほど強火にしてお焦げを作り、5分ほど蒸らしたら、レモン、パセリ等を添える。
車海老の旨味がたっぷり詰まったパエリア。ホットプレートで同じように作れます。黄色や赤が映える一品です。
車海老のエスニック刺身
材料
生食用凍眠凍結車海老 | 6尾 |
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赤玉ねぎ | 1/4個 |
パクチー (パクチーの代わりに 三葉や大葉でも) | |
レモン | 1/8個 |
タレ
ナンプラー | 大さじ2 |
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酢 | 大さじ1 |
レモン汁 | 大さじ1 |
砂糖 | 大さじ1 |
ごま油 | 大さじ1 |
赤唐辛子 | 1/2本 |
作り方
- ① 車海老は、殻と背わたを除き、塩でもみ洗いをする。赤玉ねぎは薄くスライスして水にさらし、ざるにあげてしっかり水気を切る。パクチーは3cm長さに切る、レモンはくし形に切る。
- ② タレの赤唐辛子は種を除いて小口に切り、他の調味料と合わせておく。
- ③ 皿に車海老、赤玉ねぎ、パクチーを盛り、レモン、タレを添える。
そのまま刺身で食べて美味しい車海老ですが、パンチのあるナンプラーベースのタレを添えました。
車海老のアメリケーヌソース
材料
車海老の頭 | 4尾分 |
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殻 | 4尾分 |
白ワイン | 100ml |
玉ねぎ | 1/4個 |
人参 | 1/2本 |
セロリ | 40g |
ニンニク | 1かけ |
水 | 200ml |
トマトの水煮缶 | 200g |
塩小さじ | 1/2 |
胡椒 | 少々 |
オリーブオイル | 少々 |
作り方
- ① 玉ねぎ、人参、セロリはみじん切りにする。ニンニクは潰しておく。
- ② 強火で熱したフライパンに、海老の頭と殻を入れて、潰しながらカラッとするまで焼き付ける。白ワインを加えて水気を飛ばしながらフライパンの底をこそぎ取り、火から下ろす。
- ③ 弱火で熱したフライパンにオリーブオイルと①を入れて、玉ねぎがしんなりするまで炒め、②、水、トマト水煮缶、塩、胡椒を入れて煮詰める。
- ④ 半量まで煮詰めたら、ザルをのせたボウルに注ぎ、木べらで潰しながら漉す。
海老の殻をしっかりと炒めることで臭みのないソースに仕上がります。このソースを牛乳で伸ばすとスープに、肉や魚のソテーにかけるソースにと、いろいろな料理に使えます。小分けして冷凍しておくのがおすすめです。
車海老のアメリケーヌソースでパスタ
材料(2人分)
車海老 | 4尾 |
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パスタ(太め) | 160g |
玉ねぎ | 1/4 |
にんにく | 1かけ |
アメリケーヌソース | 100ml |
生クリーム | 50g |
オリーブオイル | 大さじ1 |
パセリ・レモン | お好みの量 |
作り方
- ① 車海老は背わたを除き、塩でもみ洗いをして水けを拭き取る。玉ねぎは薄くスライスし、ニンニクは潰しておく。
- ② パスタは表示通りに茹でておく。パセリはみじん切り、レモンは輪切りする。
- ③ フライパンにオリーブオイルとニンニクを入れ熱し、香りが出たら玉ねぎを炒める。
- ④ 玉ねぎがしんなりしたら、車海老を入れ両面を焼き付け、パスタのゆで汁100ml、を加えて、車海老に火が通るまで煮る。
- ⑤ アメリケーヌソース、生クリームを加えて塩少々で味を整え、パスタを加えて絡め皿に盛り、パセリ、レモンを添える。
海老の旨味が濃厚なパスタ。アメリケーヌソースで手軽に作れます。
車海老のアメリケーヌソースでグラタン
材料(2人分)
車海老 | 4尾 |
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玉ねぎ | 1/2個 |
バター | 5g |
薄力粉 | 大さじ2 |
ジャガイモ (メークイン大) | 1個 |
シメジ | 20g |
牛乳 | 200ml |
白ワイン | 大さじ2 |
チーズ | 20g |
パン粉 | 少々 |
作り方
- ① 車海老は殻、背わたを除き、塩でもみ洗いをしぶつ切りにする。玉ねぎは薄くスライスにし、ジャガイモは皮をむいて1cm幅に切り茹でておく。シメジは石突きを除き房に分けておく。
- ② フライパンにバターと玉ねぎ、シメジを入れて炒め、しんなりしたら車海老を加えて炒める。薄力粉を振り入れて全体に粉っぽさがなくなったら、牛乳、白ワインを加えてとろみがつくまで煮る。
- ③ チーズを加えて溶けたら塩胡椒で味を調え、耐熱皿に入れて、パン粉をふり、オーブントースター等で焦げ目がつくまで焼く。
アメリケーヌソースがあればすぐに海老の旨味たっぷりのグラタンができます。ホワイトソースと海老の相性の良さが感じられる、子供から大人まで大好きなグラタンです。
車海老の甘煮
材料
車海老 | 10尾 |
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酒 | 1カップ |
みりん | 1/2カップ |
砂糖 | 1/2カップ |
薄口醤油 | 大さじ1 |
生姜の薄切り | 5枚 |
作り方
- ① 海老の背わたを除く。海老に串を刺して曲げておく。
- ② 鍋に、酒、みりん、砂糖を入れて中火にかけ煮詰める。半分以下になったら薄口醤油を加えさらに煮詰める。
- ③ 泡がぶくぶくと立つぐらいになったら、弱火にして海老を加えて煮る。
- ④ 生姜を加えて一煮立ちしたら火を止める。
つやつやに仕上がるので、和の華やかな一品です。おもてなしやハレの日におすすめです。
車海老の春巻き
材料
車海老 | 4尾 |
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春巻きの皮 | 2枚 |
リンゴ | 1/2個 |
セロリ | 20g |
大葉 | 4枚 |
揚げ油 | |
レモン | 1/8個 |
作り方
- ① 車海老は殻、背わたを除き、塩もみして洗い流し腹の部分と背中の部分に包丁を入れ、筋を切りまっすぐ伸ばす。
- ② リンゴとセロリは太めの千切りにする。レモンはくし形にきる。
- ③ 春巻きの皮を半分に切り、大葉をおいてその上に車海老、リンゴ、セロリをのせて巻き、巻き終わりを薄力粉を水で溶いたのりで留める。
- ④ 160度に熱しておいた油で揚げ、レモンを添える。
セロリとリンゴの組み合わせに、プリッとした海老がとても合います。頭ごと揚げた海老はカリカリパリパリ。海老の味噌の旨味も楽しめます。
車えびフライの梅タルタル
材料(2人分)
姫島車えびフライ | 4~6尾 |
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揚げ油 | |
キャベツ等 | |
卵 | 1個 |
カリカリ小梅 | 6個 |
胡瓜 | 1/4本 |
玉ねぎ | 1/8個 |
マヨネーズ | 大さじ2 |
レモン汁 | 少々 |
塩 | 少々 |
胡椒 | 少々 |
作り方
- ① 卵は固めに茹でる。カリカリ小梅は種を除いて粗みじんに切る。胡瓜もみじん切りにし、玉ねぎはみじん切りにしたあと、水にさらす。
- ② 卵を潰して、カリカリ小梅、胡瓜、玉ねぎ、マヨネーズ、レモン汁、塩、胡椒を混ぜ合わせ、タルタルソースにする。
- ③ お皿に揚げた車海老、キャベツの千切りをのせ、タルタルソースをかける。
さっぱりしたタルタルソースはカリカリ小梅の食感がポイントです。車えびフライは、頭がついたままなので、カラッと揚げれば頭からサクサク。海老の味噌の旨味たっぷりで、他にはない海老フライです。