漁村の活動応援サイト
vol.61
2023.5.2

日本の食と漁業を守る!
株式会社ベンナーズ 井口 剛志 さん

(株)ベンナーズ代表、井口剛志さん (c)園田 寿・東京水産振興会
(株)ベンナーズ代表、井口剛志さん

かつては水産大国と呼ばれた日本。

しかし、昨今では水産資源の減少や漁業者の減少・高齢化、若者の魚離れなど、水産業界の抱える問題が複雑化しています。

これらの問題に一石を投じた若者がいます。

(株)ベンナーズ代表、井口剛志さん。

元々祖父母が水産加工業、父親が水産卸を営む水産一家。

(c)園田 寿・東京水産振興会

福岡の高校を1年で中退し、2年生からアメリカの高校へ編入。ボストン大学でアントレプレナーシップ(起業家精神)と経営学を学びます。

(c)園田 寿・東京水産振興会

2018年4月に、日本の食と水産業界を守る、ということを経営理念に掲げて、ベンナーズを創業しました。

「最初は、産地と外食のバイヤーをネット上でマッチングするBtoBのプラットフォームを作ることから始まった会社。売る側と買う側をオンラインで繋ぎ、情報を一元化することで取引をスムーズにする仕組みです。」

会社が取引先を徐々に増やし順調に進み始めたところで、2020年に入ってからコロナが蔓延しはじめました。

「自分たちのお客様はほとんどが外食産業だったので、何か新しいことをしなければいけない。次の一手を考えたときに、家庭で美味しい魚を食べたいというニーズが増えるんじゃないかと。」

そんな思いの中、2020年6月にクラウドファンディングで立ち上げたのが、うみのうち食堂です。規格外の魚と規格外の野菜を活用して、加工品を作り始めました。

未利用魚 (c)園田 寿・東京水産振興会
未利用魚

うみのうち食堂では、規格外として流通に乗らない魚や、新型コロナウィルスの影響で出荷できずにいる魚、またアイゴやイスズミなど磯焼けの原因とされる害魚など、これまでなかなか利用できずにいた魚を調理し、魅力的な魚料理として提供しました。海洋資源の有効活用や、漁師の所得向上、海の生態系の回復など、いろいろなメリットを生みだしました。

  • (c)園田 寿・東京水産振興会
  • (c)園田 寿・東京水産振興会

「うみのうち食堂は思った以上に反響がありました。元々魚屋ということもあって、野菜ではなく魚に特化したものを作ろうと、フィシュルを作ったんです。」

(c)園田 寿・東京水産振興会

フィシュルの名前の由来は?

「フィシュルは、fish full lifeの造語で、魚をより身近に感じていただけるようなライフスタイルを過ごして頂きたいな、という思いを込めています。」

フィシュルは、旬の魚料理のサブスク便。

のせるだけ、茹でるだけ、焼くだけで簡単に美味しく魚を食べられる、核家族や共働き家族など、今時のライフスタイルにあったミールキットが届きます。

(c)園田 寿・東京水産振興会

フィシュルで使う魚はもちろんすべて国産天然魚。調味料も基本九州産の無添加のものにこだわり、特殊な凍結技術で瞬間凍結しているので鮮度も抜群。サイズもコンパクトで保存しやすく、手作業で下味のみをつけている状態なので、アレンジもしやすく、解凍後すぐに食べられる優れものです。

「作り手よし、使い手よし、そして社会よし。本当の意味で持続可能といえるような新たな食のインフラを、技術を通して構築していくというのが目標です。フィシュルを通してみんな豊かになるよう、これらのビジョンに則ってこれからもフィシュルを成長させていきたいと思っています。全国の浜で同様な取り組みを行い、浜値の底上げであったり、漁師さんたちの賃金の向上を実現していきたい。そしてフィシュルの利用者を増やしていくことで魚のファンを増やしていきたいと思っています。またフィシュル以外にも新規事業を生み出していき、最終的には水産業界のリーダー的存在になっていけるような会社を目指します」

水産業界の革命児の今後に目が離せません!

そんなフィシュルの商品を使ったレシピを紹介します。

フィシュルの商品を使ったレシピ。
タイトル下の( )の中はフィシュル商品の種類

生春巻き
(フィシュルの煮切り醤油漬け)

生春巻き (c)園田 寿・東京水産振興会

材料

フィシュルの
煮切り醤油漬け
1袋
春巻きの皮4枚
胡瓜1/2本
人参1/2本
小ネギ4本
アボカド1/2個
大葉4枚
マヨネーズ大さじ2
ゆず胡椒少々

作り方

  • 煮切り醤油漬けの魚はスティック状になるように切る。
  • 胡瓜、人参は千切りにする。小ネギは10cm長さに切る。アボカドは5mm幅にスライスする。
  • 生春巻きの皮を水で戻し、大葉、①②の順にのせて巻く。
  • 食べやすい大きさにカットして、マヨネーズとゆず胡椒を合わせたものを添える。

ハーブオイルマリネのオーブン焼き
(フィシュルのハーブオイルマリネ)

ハーブオイルのオーブン焼き (c)園田 寿・東京水産振興会

材料

フィシュルのハーブオイルマリネ1袋
玉ねぎ1/2個
ジャガイモ2個
ミニトマト8個
レモン1/2個

作り方

  • ジャガイモは皮付きのまま串が通るまで茹で、4~6等分にする。玉ねぎはくし形に4等分に切る。
  • 耐熱皿にハーブオイルマリネの魚、、ミニトマトをのせ、マリネ液を野菜にもかけ、180度のオーブンで15分焼く。
  • 皿に盛りくし形に切ったレモンを添える。

バスケーズ
(フィシュルのペスカトーレ)

バスケーズ (c)園田 寿・東京水産振興会

材料

フィシュルのペスカトーレ1袋
ピーマン2個
玉ネギ1/2個
パプリカ(赤・黄)各1/2個
にんにく1かけ分
赤唐辛子1本
白ワイン1/4カップ
トマトの水煮缶1/2
塩、胡椒適宜
オリーブオイル大さじ2
パン粉適宜

作り方

  • ピーマン、パプリカは種とへたを除き、太めの棒状に切る。玉ねぎ、にんにくはみじん切りにする。赤唐辛子は種を除き粗く刻む。
  • フライパンにオリーブオイル大さじ1を熱しペスカトーレの魚(ソースはとっておく)の両面を焼き、一度取り出しておく。
  • フライパンの余分な油を拭き取り、残りのオリーブオイルを熱して玉ねぎ、にんにく、赤唐辛子を弱めの中火で炒める。3分ほど炒めたら、白ワインを加えて煮詰める。
  • トマトの水煮缶、水1/4カップ、残しておいたソースを加えて5分ほど煮たら、の魚、ピーマン、パプリカを加えて蓋をして10分ほど煮る。
  • 蓋を外して煮汁が半量になるまで煮詰めたら、塩胡椒で味を調える。
  • 皿に盛り、パン粉をふり、あればパセリ等をのせる。

大葉の冷製パスタ
(フィシュルのジェノバソース)

大葉の冷製パスタ (c)園田 寿・東京水産振興会

材料

フィシュルのジェノバソース1袋
カッペリーニ50g
大葉5枚
少々

作り方

  • 大葉は千切りにしておく。
  • カッペリーニはたっぷりの湯で表示通りに茹でて、冷水にとってしっかり冷やし、ざるにあげてペーパーで絞りながら水気を切る。。
  • ボウルに、ジェノバソースを入れて混ぜ合わせ、塩で味を調え器に盛り、大葉をのせる。

ヤンニョム蒸し
(フィシュルのヤンニョムフィッシュ)

ヤンニョム蒸し (c)園田 寿・東京水産振興会

材料

フィシュルのヤンニョムフィッシュ1袋
もやし1袋
白ネギ15cm
ごま油大さじ1
みつばもしくはパクチー適量

作り方

  • 蒸し器にオーブンペーパーを敷いて、ひげ根を除いたもやしをのせる。
  • 上にヤンニョムフィッシュをのせて、蒸気の上がった蒸し器で10分ほど蒸す。
  • 白ネギを千切りにし、蒸し上がったにのせ、熱々に熱したごま油を白ネギにかける。
  • 2cm長さに切ったみつばもしくはパクチーを添える。

グリーンカレーグラタン
(フィシュルのグリーンカレー)

グリーンカレーグラタン (c)園田 寿・東京水産振興会

材料

フィシュルのグリーンカレー1袋
玉ねぎ1/4個
ほうれん草1/2袋
バター15g
薄力粉15g
牛乳200cc
溶けるチーズ20g
パン粉適量
塩、胡椒少々

作り方

  • 玉ねぎは薄切りにし、ほうれん草は熱湯で茹でて5cm長さに切る。
  • フライパンにバターを熱し、玉ねぎをしんなりするまで炒める。
  • 薄力粉を加えて、粉っぽさがなくなってきたら牛乳を加えて混ぜながらとろみがつくまで加熱する。
  • グリーンカレーを加えて火が通ったらほうれん草とチーズを加えて、塩胡椒で味を調え、耐熱皿に移す。
  • パン粉を振って、焦げ目がつくまで焼く。

Fishlle!
(フィシュル)

ウェブサイト
https://fishlle.com/

文・レシピ

園田 寿

園田 寿(そのだ すが)

料理研究家
結婚・出産を機に料理に目覚め、子供の野菜嫌いをなんとかしようと考えだした、アイデアと旬の食材を生かしたレシピが数々の料理コンテストで表彰されるように。現在は大分県大分市内で料理教室「シュガーズキッチン」を主宰し、地元の野菜農家とコラボした野菜教室や、食育の一環として魚料理教室、郷土料理教室なども行っています。和洋中エスニックと幅広いオリジナルのレシピは、手に入りやすい食材で家庭向きにアレンジしており、ご家庭でもさっと作れるのが魅力です。

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