漁村の活動応援サイト
vol.70
2024.3.7

カンパチヒラマサで町興し!
有限会社 坂下水産 坂下 奈津子 さん

日本有数の養殖の産地、鹿児島県にお邪魔しました。

訪ねたのは、錦江湾でカンパチやヒラマサの養殖を営む坂下水産の坂下奈津子さん。

(c)園田 寿・東京水産振興会
坂下さんとお客様。常連さんととってもフレンドリー

以前、東京ビッグサイトで開催されたジャパン インターナショナル シーフードショーに出展した際、坂下さんが同じブースにいらっしゃって、“なつこさんなつこさん”、とお客様がひっきりなし。業者や行政の方はもちろん、若い人たちが絶えず声をかけにいらっしゃっていました。

聞けば、養殖業だけでなく、地域のことに深く関わられているとのこと。これはお邪魔せねば!

錦江湾は、カンパチの養殖生産量日本一。

沿岸部から水深が深くなるので、養殖の生け簀も水深のある海面に設置することができます。そのため、海が汚れることがなく、漁場環境が良好に保たれるのです。さらに、シラス台地や照葉樹林からは多くの河川を通じてミネラル豊富な水が湾内に供給されます。特に錦江町は錦江湾の入り口付近にあるので、赤潮が発生したとしても滞留することがなく、潮流も速いので身の引き締まった良質な魚が育ちます。

(c)園田 寿・東京水産振興会
桜島

錦江町は、大隅半島南西部に位置します。

坂下水産は国道沿いに直売店の“ふる里館”をオープンさせ、カンパチ、ヒラマサの直売のみならず、地元の野菜や手作りのお魚惣菜などの販売も手がけ、地元にはなくてはならない存在になっています。

(c)園田 寿・東京水産振興会
ふる里館

カンパチ、ヒラマサは遠く市街からも料理人が買いに来るほどの人気ぶり。

その秘密は、ただ水揚げしたての新鮮なものを並べているだけでなく、加工場とお店をモニターで繋げ、どれがどれだけ売れているかによって、店に並べる種類と数を決め、無駄がでないよう、常に新鮮なものを並べるよう調整しているのです。

食の好みは人それぞれ。刺身の厚さも薄いもの厚めのものと2種類を用意して、お客様のニーズに応えた販売を心がけています。

また、坂下水産のカンパチ、ヒラマサは、飼料に黒糖を加えることで、ほのかな甘みがあります。細やかな配合飼料の調整もあり、魚特有のくせのない、ほどよい脂の上品な味わいも特徴です。

鮮魚で届けることは難しい人たちにも美味しく、カンパチ、ヒラマサを食べてほしいと言う思いで、手作りのお魚惣菜の販売も行っています。

そのお魚惣菜を使ったレシピはまた後ほど。

坂下さんに案内してもらったのは、町内のゲストハウスよろっで。

(c)園田 寿・東京水産振興会
ゲストハウスよろっで

商店街の中の、飼料や米を販売していた築90年の空き家をリノベーションして作られたゲストハウスです。人が集まりつながる場所を目指して、空き家対策をしたい町と起業したい若者の思いがマッチして、単なる空き家の活用という枠を超えて、町と人を繋ぐ拠点になっています。

坂下さんはここの運営会社“株式会社燈”の役員も務めています。

錦江町が大好きな、錦江町の未来を思う人たちが集まり、錦江町のために活動する。

行動力のある坂下さんの下に、若い人たちが集まり、錦江町の元気の源となっているようです。

高齢化率の高い錦江町で、若い人たちが集まる姿は、過疎化に悩む自治体のよい見本になるのではないかと思います。

ふる里館で扱っている、新鮮なカンパチ、ヒラマサとその手作り惣菜を使ったレシピを紹介します。錦江町の人の温かさも感じてもらえたら幸いです。

(c)園田 寿・東京水産振興会
さかしたキッチン商品

カンパチ(ヒラマサ)フィレの黒酢あんかけ

カンパチ(ヒラマサ)フィレの黒酢あんかけ (c)園田 寿・東京水産振興会

材料

カンパチ(ヒラマサ)150g
片栗粉適量
揚げ油適量
白髪ネギ適宜
ゆで卵などお好みで

A

しょうゆ大さじ1
大さじ1
生姜のすりおろし少々

B

黒酢大さじ2
黒糖大さじ3
しょうゆ大さじ2
小さじ2

作り方

  • カンパチ(ヒラマサ)は2cm角に切り、Aにつけておく。
  • に片栗粉をまぶして、160度の油でからりと揚げる。
  • フライパンにBを入れ沸騰したらを加えて絡める。
  • 皿に盛り、お好みで白髪ネギやゆで卵などを添える。

黒酢の産地は同じ大隅半島にある大隅町。黒酢との相性もバッチリです。
甘酸っぱいあんが食欲をそそります。

カンパチ(ヒラマサ)のタルタル

カンパチ(ヒラマサ)のタルタル (c)園田 寿・東京水産振興会

材料

カンパチ(ヒラマサ)フィレ100g
リンゴ1/2個
玉ねぎ1/4個
バゲットもしくはクラッカー適量
ディル少々
少々
白ワインビネガー大さじ1
オリーブオイル大さじ1

作り方

  • カンパチ(ヒラマサ)フィレ、リンゴは5mm角に切る。玉ねぎはみじん切りにして水にさらす。
  • ボウルに、カンパチ(ヒラマサ)、リンゴ、しっかり水切りした玉ねぎ、ディルを入れて混ぜ、白ワインビネガー、オリーブオイルを加えて塩で味を調える。
  • 皿に盛り、バゲットなどにのせて頂く。

カンパチ(ヒラマサ)のお刺身がおしゃれに変身。
おもてなしのメニューにおすすめです。

次に坂下水産の手作りお魚惣菜(さかしたキッチン)の商品を使用したレシピを紹介します。

カンパチ(ヒラマサ)の味噌漬けの蕪蒸し

カンパチ(ヒラマサ)の味噌漬けの蕪蒸し (c)園田 寿・東京水産振興会

材料

カンパチの味噌漬け1袋
蕪(中)1個
卵白1個分
少々
片栗粉小さじ2

A

だし汁200cc
薄口醤油大さじ2
みりん大さじ2

作り方

  • カンパチ(ヒラマサ)の味噌漬けはグリル等で焼いておく。
  • 蕪はすりおろし、軽く水気を切って、卵白と塩を加えて混ぜておく。
  • 耐熱皿にカンパチをのせ、をかけ、蒸気の上がった蒸し器で8分蒸す。
  • Aを小鍋にいれ沸騰したら倍量の水でといた片栗粉を加えてとろみを付け、にかける。

好みでゆず胡椒を添える。
味噌漬けの香ばしさと、蒸したことでふっくらとしたカンパチの身が上品な一皿。
おもてなしにもおすすめです。

カンパチ(ヒラマサ)の味噌漬けの混ぜご飯

カンパチ(ヒラマサ)の味噌漬けの混ぜご飯 (c)園田 寿・東京水産振興会

材料

カンパチ(ヒラマサ)の味噌漬け1/2袋
2合
みつば1/2束
梅干し1個

A

昆布10cm
大さじ1
薄口醤油大さじ1

作り方

  • 味噌漬けはグリル等でこんがり焼いておく。米はといでおく。
  • 炊飯器に米とAを入れ、目盛り通りに水を加え、味噌漬けをのせて普通に炊く。
  • 炊き上がったら、刻んだ梅干し、三つ葉を加えて混ぜる。

三つ葉と梅で、彩りのよい混ぜご飯に。カンパチ(ヒラマサ)の美味しさがご飯にしみます。

メンチカツのロコモコ風(1人分)

メンチカツのロコモコ風 (c)園田 寿・東京水産振興会

材料

メンチカツ2個
1個
ご飯1杯分
バター10g
薄力粉小さじ1
赤ワイン大さじ1
ウスターソース小さじ1
ケチャップ小さじ1
大さじ2
パセリ少々
サラダ油少々

作り方

  • 卵は殻を割らないまま、冷凍しておく。凍ったら、殻を割り凍ったまま半分に切る。
  • 卵の断面を下にして、サラダ油を熱したフライパンで焼く。
  • メンチカツはキツネ色になるまで揚げる。
  • 皿にご飯を盛り、メンチカツをのせておく。
  • フライパンにバターを熱し、薄力粉を炒める。飴色になったら赤ワイン、ウスターソース、ケチャップ、水を加えてとろみがついたらにかけ、の目玉焼きをのせ、パセリを散らす。

メンチカツをハワイのロコモコ風に。
ボリューミーでガツンとした味が、若い人に喜ばれます。

コロコロフライのピンチョス風

コロコロフライのピンチョス風 (c)園田 寿・東京水産振興会

材料

コロコロフライ1袋
ミニトマト適量
モッツァレラチーズ(ミニ)適量
バジル適量
ジェノヴェーゼソース適量

作り方

  • 揚げ油(分量外)を160度に熱し、コロコロフライをキツネ色になるまで揚げる。
  • ミニトマト(小さければそのままで)を半分に切る。
  • コロコロフライ、モッツァレラ、トマト、バジルの順に串にさして皿に並べ、ジェノヴェーゼソースを添える。

一口サイズの食べやすいコロコロフライをおしゃれに食べやすくアレンジしました。

お魚ミンチのトマト詰めオーブン焼き

お魚ミンチのトマト詰めオーブン焼き (c)園田 寿・東京水産振興会

材料

お魚ミンチ100g
トマト2個
チーズ20g
パン粉適量
玉ねぎ1個
ローズマリー適宜
オリーブオイル適量
塩、胡椒適量

作り方

  • トマトは中身をくりぬいておく。玉ねぎはくし形の6等分に切る。
  • 解凍したお魚ミンチとチーズを混ぜ、くりぬいたトマトに詰め、パン粉をのせる。
  • 耐熱皿にと玉ねぎをのせ、塩、胡椒をふり、オリーブオイルをまわしかけ、ローズマリーをのせる。
  • 200度に熱したオーブンで20分ほど焼く。

お魚ミンチにしっかり味がついているので、手軽に作れます。
付け合わせのお野菜は、根菜類やキノコもおすすめです。

有限会社坂下水産

ウェブサイト
http://www.sakashitasuisan.jp/

文・レシピ

園田 寿

園田 寿(そのだ すが)

料理研究家
結婚・出産を機に料理に目覚め、子供の野菜嫌いをなんとかしようと考えだした、アイデアと旬の食材を生かしたレシピが数々の料理コンテストで表彰されるように。現在は大分県大分市内で料理教室「シュガーズキッチン」を主宰し、地元の野菜農家とコラボした野菜教室や、食育の一環として魚料理教室、郷土料理教室なども行っています。和洋中エスニックと幅広いオリジナルのレシピは、手に入りやすい食材で家庭向きにアレンジしており、ご家庭でもさっと作れるのが魅力です。

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